エストニア教育科学省は3月16日、同国のEラーニング教材を世界に向けて無償提供すると発表した。現在、数学や外国語など8つの教材がパソコンやスマートフォンから無料で学習可能だ。提供される教材の情報はウェブサイト「Education Nation」に掲載されている。
PISA調査で見えたエストニアの躍進と「ピザショック」の日本
OECDが2018年に行った学習到達度調査(PISA)において、エストニアは「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」の全分野でアジア圏外トップに輝いた。かつて教育モデルとしていたフィンランドを追い抜く結果となったのは、教育現場の徹底したデジタル化が背景にあると言われている。
一方、日本は2003年の「ピザショック」以降、ゆとり教育からの転換を図ったものの、2018年調査でも読解力が15位まで急落。2015年から導入された「コンピューター使用型調査(CBT)」への戸惑いも指摘されており、デジタル上での情報処理能力の差が浮き彫りとなっている。
「プログラミング」は入り口に過ぎない:エストニアの教育課程
エストニアでは、小学1年生からロボット工学や3Dデザインを教育課程に組み込んでいる。特筆すべきは、「プログラミング」を情報教育の一部としてしか捉えていない点だ。彼らは以下の3つのトピックを教育の柱としている。
- デジタルアート
- コード(書き込み)
- デジタルセキュリティ
これらは日本の「図工」に当たる科目の約3分の1を占め、低学年から年間約30時間を費やして学んでいる。単なる操作技術ではなく、創造性や安全性を重視したカリキュラムだ。
「IT Student」が教員を支える柔軟な教育現場
エストニアの教育現場には、「教員がプログラミングのすべてを知っている必要はない」という合理的なスタンスがある。ITに優れた才能を持つ児童は「IT Student」と呼ばれ、時に教員の代わりに指導をサポートすることもあるという。子供を「特別な才能を持った一人の人間」として認め、その才能を伸ばそうとする意識が徹底されているのだ。
まとめ:日本の教育力の真価と未来
AI時代に求められるのは、暗記力や計算力ではなく、人間にしかできないクリエイティブな能力だ。日本においても、IT分野における「オリンピック強化選手」とも言える人材を育成し、国家の礎を築く意識改革が求められている。デジタル教育先進国エストニアの姿勢は、日本の教育現場が真に進化するための大きな道標となるだろう。
記事参照:産経新聞、JETROビジネスニュース、Sapphire Tokyo(海外教育事情)