朽ち果てた教会が100年の時を経て復活。スペイン北部に出現した「Kaos Temple」

スペイン北部アストゥリアスのジャネラにある、1912年に建設された古い教会。長年放置され、荒廃の一途をたどっていたこの建物が、スペインの団体「Church Brigade」の手によって、まさかのスケートパークへと大改装された。設計者マヌエル・デス・ブスト氏も想像し得なかったであろうこの「復活」は、現代アートの力によって成し遂げられた。

オクダ・サン・ミゲル:日本にルーツを持つアーティスト名

このスケートパーク「Kaos Temple(カオスの神殿)」の最大の特徴は、アーチ型天井を埋め尽くす極彩色のアートだ。美術を担当したのは、スペインのデザイナー、オクダ・サン・ミゲル(Okuda San Miguel)氏。彼のアーティストネーム「オクダ」は、かつてビデオゲームのエンドクレジットで見かけた名前に自身の本名「オスカー」との親和性を感じて名付けたという、日本にゆかりのあるエピソードを持っている。

彼の作風は「ポップ・シュールレアリズム」と定義され、強烈な色彩と幾何学模様が特徴だ。実存主義や自由、生命といった深いテーマを、現代の都市空間に鮮やかに投影し続けている。

東京・西新橋に出現した「新虎ヴィレッジ」とオクダのアート

オクダ氏の影響力は日本国内でも発揮されている。フォルクスワーゲン グループ ジャパンがプロデュースした「新虎ヴィレッジ」(2019〜2020年)では、アムステルダムのアートシティ「NDSM」の主宰者らと共に、オクダ氏も空間プロデュースに参画。リユースされた廃材とストリートアートが交差するオープンな遊び場を作り上げ、訪れる人の創造性を刺激した。

ファッションとアートの融合:デシグアルとのコラボレーション

オクダ氏の活動はキャンバスや壁画に留まらない。バルセロナ発のファッションブランド「デシグアル(DESIGUAL)」は、リブランディングの一環としてオクダ氏とのコラボレーションを発表。ブランドを象徴するヴィンテージデニムのパッチワーク「アイコニックジャケット」に、彼の独創的な幾何学模様を落とし込むなど、アートとファッションの新たな境界線を切り拓いている。

まとめ:廃墟に息吹を吹き込む現代の「神殿」

バレンシアで開催された個展「動物と人間の多色的な平衡」に見られるように、彼の作品は常に「生」のエネルギーに満ちている。かつての祈りの場が、スケートボーダーたちが集う躍動の場へと変わったように、オクダ・サン・ミゲルのアートは、失われかけた場所に新しい息吹を与え、人々を繋ぐ「現代の神殿」を作り出し続けている。


記事参照:ROOMIE、産経新聞、DAYS、地球の歩き方、WWD JAPAN