横浜美術館で開催された「トライアローグ」展を鑑賞し、私は強い衝撃を受けた。横浜、愛知、富山という3つの公立美術館のコレクションが一堂に会したこの展覧会で、何よりも際立っていたのは富山県美術館の所蔵作品の圧倒的なクオリティである。
「本物」を見極める目利き:小川正隆氏の功績
特にパブロ・ピカソの「肘掛け椅子の女」や、ゲルハルト・リヒターの最高傑作と言える1982年のドクメンタ展示作品。これらを収集したのは、初代館長の小川正隆氏だ。彫刻家としての私の視点から見ても、富山のコレクションは「画商に買わされた作品」が一つもなく、すべてが歴史的なマスターピースである。
彫刻家が断言する「彫刻作品」の買い方
驚いたのは、ハンス(ジャン)・アルプの扱いだ。彼は不世出の彫刻家であるにもかかわらず、愛知と横浜はレリーフを収蔵し、ブロンズの立体彫刻を所蔵しているのは富山のみであった。アートを志す若者にとって、図録や版画ではなく「本物の立体」を間近で見ることこそが最大の教育になる。富山県が誇るこの資産は、現在では数兆円規模の価値に匹敵するのではないだろうか。
美術館の役割は、地域に本物を見せ、次世代の芸術家を育てる基礎を作ることだ。今回の展示を通じて、目利きによるコレクションがいかに重要かを再認識させられた。