2021年、SOMPO美術館で開催された「モンドリアン展」は、抽象美術の真髄に触れる極めて重要な機会となった。ピート・モンドリアン(1872-1944)といえば、誰もが一度は目にしたことがある「水平・垂直」の直線と三原色によるコンポジションが有名だ。
自然主義から純粋抽象へ:23年ぶりの回顧展が示す軌跡
本展では、彼が初期のオランダでの風景画から、いかにしてあのストイックな抽象表現へと辿り着いたのか、その変遷を辿ることができる。39歳でのパリ移住は、彼の芸術人生において決定的な転換点となった。自然を解体し、宇宙の根源的な調和を色彩と線に落とし込んでいく過程は、形を削り出す彫刻の思考プロセスとも深く通じている。
ファッションとアートの交差:モンドリアン・ルックの源流
イヴ・サンローランの「モンドリアン・ルック」に象徴されるように、彼の美学はキャンバスを飛び出し、現代のプロダクトデザインやファッションにも多大な影響を与え続けている。装飾を削ぎ落とし、純粋な秩序のみで画面を構成する強靭な意志は、現代のアートシーンにおいても色褪せることはない。