コンテンポラリーからモダンまで:マレットジャパンが贈る2020年秋のアート・オークションの魅力

2020年11月19日、東京・江東区でマレットジャパンによる「モダン&コンテンポラリーアートオークション」が開催される。全279点という圧倒的なボリュームの中には、今をときめくコンテンポラリーアートから、歴史に名を刻む巨匠のモダンアートまで、まさに「眼福」と言えるラインナップが揃った。今回は、アート市場の最前線を感じさせる注目の出品作を深掘りして紹介したい。

1. 李 禹煥(リ・ウファン):静寂と空間を支配する189cmの大作

今回、最も注目すべきは李 禹煥の「出港地A、出港地C」だろう。1991年に制作されたリトグラフの連作だが、驚くべきはそのサイズだ。縦190センチに及ぶ大作は、国内のオークション市場でも滅多にお目にかかれない最大級のスケール。各30部限定という希少性もあり、李 禹煥が追求する「余白の美学」が空間全体を包み込む力強さを持っている。(落札予想価格:100~150万円)

2. Mr.Doodle:ストリートの寵児による「大型ユニーク作品」

ファッションブランドとのコラボレーションで一躍世界的なスターとなったMr.Doodle。今回は8点もの出品があるが、目玉は100cm四方のキャンバス作品「Black & White #18」だ。画面いっぱいに広がる彼の代名詞「落書き(ドゥードゥル)」は圧巻。このサイズのユニーク(一点物)作品は市場への流通が少なく、激しい競り合いが予想される。(落札予想価格:300~400万円)

3. 山口歴(めぐる):ほとばしる「メグルブルー」の衝撃

ニューヨークを拠点に、世界的な評価を確立した山口歴。彼の代名詞である、筆跡そのものを作品とする「ブラッシュ・ストローク」が鮮烈な「SPLITTING HORIZON NO.10」が登場する。2019年に制作された彼にとって初のリトグラフ作品であり、深い青色「メグルブルー」が放つエネルギーは、ストリートカルチャーの熱量をそのまま体現している。(落札予想価格:35~45万円)

4. 瑛九(えいきゅう):独自技法「フォトデッサン」が描く幻想

戦後の前衛美術を牽引した瑛九の「愛撫」にも注目だ。印画紙に直接型紙を置いて感光させる「フォトデッサン」は、単なる写真技術を超えた瑛九独自の表現。マン・レイらと比較されながらも、自らの感性で昇華させたそのイメージの重なりは、見る者を深い幻想の世界へと誘う。(落札予想価格:30~40万円)

5. モーリス・ユトリロ:パリの哀愁とデッサン力の結晶

モダンアートの巨匠、ユトリロの「モンマルトル、サン=ヴァンサン通り」は、彼のキャリアにおける重要な「白の時代」へと向かう過渡期の傑作だ。独学でモンマルトルの街角を描き続けたユトリロ。この作品には、鋭い遠近感と建物が織りなす独特の構図があり、パリの小径がより身近に感じられる独特の構図となっており、ユトリロのデッサン力が際立っている。(落札予想価格:500~600万円)

総評:多様性が交差する、唯一無二のセレクション

これら以外にも、インベーダーの作品や、現在のマーケットで絶大な人気を誇るKYNE、さらにはアンディ・ウォーホルまで、今回のラインナップは非常に「今日的」かつ「歴史的」だ。美術品との出会いは一期一会。2020年11月、東京の地でどのようなドラマが生まれるのか。すべての美術ファンにとって見逃せないセールとなるだろう。