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アンゼルム・キーファー(Anselm Kiefer )人と作品 ドイツ人アーティスト画家、彫刻家、芸術家

投稿日:2020-05-25 更新日:

1冊の本がここにあります「メランコリア-知の翼-アンゼルムキーファー」と言う1993年にセゾン美術館、京都国立近代美術館、広島市現代美術館にて開催された展覧会の図録です。

僕はヨーロッパに住んでいた時、あらゆる都市の美術館でこのドイツの芸術家アンゼルムキーファーの巨大な絵画を見ています。

こじんまりとした作品が並ぶ中1つの部屋の壁一面を覆うような彼の真っ黒な絵画は今でも脳裏に焼きついています。

留学当時テキストを読むことに苦労していましたが、帰国後日本語に翻訳された彼についての文章を読みあさった。その中に今回の図録があります。

今中国でバブルの資金を使い美術館に世界の有名アーティストを招いているが、当時1993年と言えば日本がバブル時代である。その時アメリカでキーファーの大規模な回顧展(キュレーター、マークローゼンタール氏の企画した展覧会)を日本に輸入した形である。

いちど見たら忘れられない強烈な彼の芸術から、世界中にその信奉者を広め、80年代バブルに沸く日本に神のイカズチのごとく登場したアンゼルムキーファーの展覧会であった。

2020年現在、日本の美術館で彼の作品を見る機会は実に稀である。軽井沢にあるセゾン現代美術館には彼の作品「革命の女たち」があるが大画面の絵画はまだ日本で見たことがない。

アンゼルム・キーファーの作品の特徴

彼の作品は新象徴主義と新表現主義の運動と結びついています。

ネオ表現主義(新表現主義)が80年代の初めにドイツの現代美術界に登場しました。

過去現在未来をテーマとするキーファーは、宗教、歴史などのモチーフを用いて人類の様々な罪をテーマに制作していました。

様々な素材を画面に貼り付けることで物質と精神が絵画の中で結合し我々の目の前に生み出されます。

暗く廃墟のような絵画からは世界的な普遍性が漂っています。

時代、精神、物質を統合する「芸術の力」を壮大なスケールで制作しているんです。

キーファーは大戦でのドイツ民族の「汚点」から人類普遍の「現在」へと視野を広げ、決して癒されることのないメランコリックな感情を制作の基盤としています。

新たな人類の黙示録を作り出そうとする神話的、宗教的な作品で知られています。

アンゼルム・キーファーの人生

1945年3月8日南ドイツのフライブルク近くの街。ドナウエッシンゲンに生まれます。

1965年フライブルグ大学で法律学びますが、翌年芸術に目覚めます。

そして(ぼくもドイツで留学していた)カールスルーエの芸術アカデミーに入学するんです。

そこで 芸術家ピータードレーアーPeter Dreher(1932年8月26日-2020年2月20日)と、

ピータードレーアーPeter Dreher 作品

芸術家であり彫刻家の ホルストアンテスHorst Antes(1936年10月28日-)に学びます。

ホルストアンテス Horst Antes 作品

1969年、様々な場所でナチスの敬礼のポーズを取る自分自身を撮影した写真のシリーズ「占領」を発表します。

戦争で負けたドイツ民族をほめたたえるようなタブーを扱った作品は激しい議論を巻き起こします。

アイデアを表現するための身近な素材の使用は、作品に脂とカーペットのフェルトを使用したヨーゼフボイス Beuysの影響を受けています。

どうしてかというと、

1970年ジュッセルドルフのアカデミーでヨーゼフボイスの授業を受けているんです。

1971年、キーファーは南ドイツのホルンバッハに移り、スタジオを設立しました。

そして、

アメリカ、中近東を旅します。旅は彼の作品に影響を与え、絵画に加えて、彫刻、水彩、写真、木版画を作成しはじめます。

鉛の使用は彼が家の老朽化したパイプを修理するときに生希ました。

1970年代から1980年代初頭にかけて、キーファーはリチャードワーグナーもオペラにした『ニーベルングの指輪』を解釈したテーマにした数多くの絵画、水彩画、木版画、本を作りました。

また

1980年39回ベネチアビエンナーレの西ドイツのパビリオンで個展を開き国際的な評価を得ます。

その頃から藁をキャンバスに付着させたシリーズを制作し始めます

1982年カッセルのドクメンタ7

そして前回も出てきているベルリンのマルティングロービスバウで「ツァイトガイスト」展に出品。

この頃から

キャンバスには鉛や油絵による厚塗りの画面が現れ、北欧神話、ギリシャ神話、旧約聖書などから題名をとってくることで作品を神話的世界へ導きます。

1987年シカゴアートインスティチュート。フィラデルフィア美術館そしてロサンゼルス現代美術館。ニューヨーク近代美術館を巡回した展覧会が行われます。

日本で行われた展覧会はこの大規模な巡回展を日本に持ってきたものです。

1988年、キーファーはヘプフィンゲンにあった元のレンガ工場を、数多くのインスタレーションや彫刻を含む広範なアートワークに変えました。

1991年にはベルリン国立近代美術館で大回顧展が開催されます。

1990年代の彼の絵画は、国民のアイデンティティーではなく、存在と意味の普遍的な神話を探求しています。1995年から2001年まで、彼は宇宙の大規模な絵画のサイクルを制作しました。

1991年、ホルンバッハで20年間住んだ後、最初の妻と子供をそこに残して、ドイツを出て、世界中を旅します。インド、メキシコ、日本、タイ、インドネシア、オーストラリア、米国に行き、

1992年、南フランスのバルジャックで彼は35ヘクタールの廃墟となった絹の工場をスタジオ複合施設(ユニバーサルアートワーク)にして、移り住みます。

この芸術プロジェクトはドナルドチャットのマカフィーの施設を想起させます。

長い廊下、野心的な風景画や建造物に対応する彫刻。森、土の柱、曲がりくねった迷路。

すべてが進行中の作業で、記念碑的なコンセプトアートです。

1999年高松宮殿下記念文化賞絵画部分を受賞します

2005年、展覧会をギャラリータデウスロパック Galerie Thaddaeus Ropacのザルツブルグで開きます。

内容はキーファーの本へのこだわりに焦点を当て、ゲルマン神話への言及と、ツェルノヴィッツ出身のユダヤ人であるポール・セランの詩を結びつけたものでした。

2008年、キーファーは南フランスのバルジャックにあるスタジオを離れ、パリの中心のマレ地区の巨大な家に2番目の妻でオーストリアの写真家レナーテグラーフと彼らの2人の子供と移り住みます。

2009年、キーファーはロンドンのホワイトキューブギャラリーで2つの展示会を開催。内容はガラスの瓶に囲まれた一連の森の祭壇画で、戦後のオーストリアの詩人、放送作家のインゲボルグ・バックマンIngeborg Bachmannの詩に端を発した作品でした。

2012年には、5メートルの高さの柵に囲まれた黄金の麦畑の彫刻をギャラリータダウスロパック、ロンドンのホワイトキューブギャラリーで展示します。

2014年2番目の妻とも離婚します。

2017年、キーファーは月刊のビジネス雑誌によってドイツで最も裕福な1,000人にランキングされました。

2018年、彼はオーストリアの市民権を授与されました。

は2019年85歳の彼は、夏にバルジャックで生活と仕事に費やした。

2020年現在もさまざまな場所でのグループ展や個展に参加しています。

アンゼルムキーファーの技法

彼の作品には、わら、灰、粘土、鉛、割れたガラス、乾燥した花や植物シェラックなどの材料が組み込まれています。

シェラックとは、インドとタイの森の木々に生息する雌のラクの虫から分泌される樹脂です

キーファーの作品での藁は、エネルギーを表しています。

金の色、燃焼時のエネルギーが関わっています。

結果として生じる灰は、変容のモチーフと生活のサイクルを意味する。

キーファーは、扱う素材との「精神的なつながり」を大切にして「[彼らの]内にすでに存在している精神を抽出している」と述べています。

また、

「秩序が多すぎる場合、作品は死んでいる」

作品が置かれている空間については、自分の作品が間違った空間に置かれると「彼らの力を完全に失う」と述べています。

「孤独(20 Years of Solitude)」(1971-1991)という本は、ページはアーティストの精液で染色されて、作成にかかった20年の間、アーティストが紙の上で頻繁にマスターベーションをしたことを示しています。

彼のインスピレーションは詩人、テストポール・セランとインゲボルグ・バックマンから来ました。

ユダヤキリスト教、古代エジプト文化、東洋文化のテーマが取り入れられています。

キーファーは存在の意味、理解できないもの、表現できないものの表現を探しているのです。

オススメ動画

図録、画集

【出典】Wikipedia commons

※使用している素材はすべて引用であり著作権を侵害する目的でこの動画を制作しておりません。

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執筆者:hideki

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