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行ってきました。ピーター・ドイグ展 東京国立近代美術館 辛口レビュー 美術批評【写真レポート】。doug-kinbi

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筆者のYouTubeサイトでPeterドイグ展の予習動画をご覧いただいた方、誠にありがとうございました。おかげさまで1000名以上の方に見ていただきました。

さて、人に勧めておきながら自分が見ていないでは話にならないですよね。

ですので、展覧会会期終了2020年10月11日の1週間前の平日水曜日、サクッと行ってまいりました。その感想をお伝えいたします。

まず一言で言うのであれば素晴らしい!絵画としての完成度の高さ。オークション取引価格38億円の理由がわかる。

です。

コロナウィルスによって3Dオンラインビューイングルーム、マーターポートでいつでもアクセスして細部までパソコン画面で見れるとは言ったものの、実際に実物を目の前にしたときの感動は月とスッポンだった。

でもこのブログではほめ殺しの甘いことを言っていられない。辛口批評してみようと思う。

アーティストの傑作量産時期と言うのは10年なのか?

私が感じたところ作品のクオリティーは1990年から1999年に制作された10枚が傑作であって、その他の作品近年の作品はクオリティーが落ちるのではないかと思う。

そう感じさせてしまったのは近代美術館のキュレーターの展示オーガナイズに問題があったからではないだろうか?

単純に時系列で並べてしまえば作品の構成や作家の歩んだ道のりに合わせてテーマを設けることができるので展示は簡単であろう。

だが、1つの展覧会が鑑賞者の記憶の中に強烈に印象を刻みつけるものであるためには、テーマを年代で時系列に分けるのではなく、作家の全体像、そして展覧会全体のクオリティーの高さにつなげられる展示方法があるはずである。

私が提案したいのは傑作と思われる10点の作品を会場内に点在させることだ。

展覧会会場全体に傑作を点在させ、スポットライトを当てるように展示をすれば、全体のクオリティーが上がり、現代作家の個展としての作家の評価を高めることが出来るのだ。

今回の時系列に合わせた展示では作家の傑作量産期間と思われる1990年から1999年の作品10点が1つの部屋にまとめられているために、作品の強い存在感が互いに悪影響を及ぼしていたように思う。

展覧会を成功に導くメソッドとして一番初めの作品と一番最後の作品にメインの作品を持ってくると言う秘訣がある。

そうしないと展覧会自体が締まらないものとなる。

今回の展示では最後に映画のアルバムジャケットのようなイラスト、デザインとも思われるペーパーワーク、紙の作品をフレーミングしているだけであって、最後のメインとなる作品が欠落している。

近代美術館の展示で言うのであれば数年前に行われた池村レイコの展覧会やヤゲオ財団のアートコレクションの展覧会はよく会場構成がされていたように思う。

さらに東京都内別の美術館で言えば東京国立新美術館で行われたアンドレアスグルスキー展、ニキドサンファル展は大変良い会場構成だったように思う。

ピータードイグの絵画についての評価。

ではなぜピータードイグの作品が1990年から1999年までの10年間にのみ傑作の集中しているのだろうか?

私の推測としては、イギリスで学んだピータードイグと言う存在をイギリスのアート界、アートギャラリーが価格を釣り上げたのではないかと予想が立てられる。

イギリスと言う国は自らの国の権威権力を全世界に広めるために愛国心に溢れた作品を取り上げ、それを世界に情報としてばらまき作品価格を釣り上げているくのである。

それはイギリスの映画を見ればよくわかることだ。アート界においてはターナープライズと言うアート賞が毎年行われ、しかも4人にノミネートされると作品価格が一気に跳ね上がるのである。

ではどうしてドイグの作品が1999年以降クオリティーが下がっていくのだろうか。

私が推測するにそれはトリニダード・トバゴと言う自然環境の豊かな場所に移ったからだ。

オーストラリアに現代アートは無いように(これは言い過ぎだろうが)自然豊かな所、食べるものに困らない環境と言うのはアートを生み出す環境として、なかなか難しい。寒く暗く人間の内面を見つめざるを得ない場所であればあるほどアートはより輝きを増すのである。

そして現代においては、寒く暗い場所に加え、大都市と言う条件が加えられる。東京ニューヨークパリロンドンベルリンといった豊かさと貧しさが混在し、灰色の街に覆われた世界だからこそアートの必要性、アートの社会性がより説得力を持って生み出されるのである。

トリニダード・トバゴと言う熱帯地域に移ってからと言うもの彼の作品の輝きは、ぬるま湯のようになってしまっているのではないか。

これはターナー賞を受賞した作家クリスオフェリにも言えることではないかと私は思う。

それにしてもあの10年間の作品と言うものは素晴らしすぎる。色の使い方、明暗の表現、構図の完璧な作られ方。参考にしても真似のできない天才以外の何物でもない作品たちが今回、東京国立近代美術館で見ることができた。

10点とは入り口を入って正面の作品から左を見て、展覧会の表紙にもなっているガストホーフの作品までの10点である。

スキージャンプやパーカーをかぶって風景画を描く作品以降は含まれない。

まとめ

アーティストは傑作を生み出す期間10年と言えるだろうか?

アーティストは自分の作品を作風を壊して新たな試みを行わなければならない。それが人生100年時代のアートのあり方だ。草間が成功しているのは30代40代の全く売れない時期を超えた後、生み出された携帯電話とのコラボ作品だったと言う。

40代の芸術家の諸君。私を含め次の高みへジャンプしよう。それが人生100年時代のアートを続ける唯一の方法であると私は思う。

ドイグ展の簡単な説明。

イギリスが誇る現代の「画家の中の画家」日本初個展だった。

彼は、ゴーギャン、ゴッホ、マティス、ムンクといった近代画家の作品の構図やモチーフ、映画のワンシーンや広告、彼が過ごしたカナダやトリニダード・トバゴの風景など、多様なイメージを組み合わせて絵画を制作している。

会場内は大きく分けて3部構成になっていた。

(1)1986年〜2000年頃までのトリニダード・トバゴ移住前の作品群

(2)2000年以降のトリニダード・トバゴで手掛けた作品群

(3)2003年~「スタジオフィルムクラブ」ポスター群

展覧会は事前予約制ではなく、筆者も並ばずにチケットが買えた。

場所:東京国立近代美術館(東京・竹橋)

会期:2020年6月12日(金)再開〜10月11日(日)

時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで

休館:月曜日

Peter Doig / ピーター・ドイグ展/

フォトレポート

油絵のテカリが美しい。

キャンパスをひっくり返しれて絵具をたらしている。
最後の廊下スペース

色とマチエールの融合。
油絵の具が盛り上げられ、モネの睡蓮のように光を受ける。
近代美術館 外観
入口正面の作品の詳細。マーターポートでは見れない絵画の表情はとても豊か。

この2点の傑作は一つの壁に1作品で十分だと思う。
作品サイズはこんな大きさ。
絵具のマットとグロスを使い分けている。
この絵ほどバーチャルと実物で違った絵はない。素晴らしい絵の表情。
細部にも徹底した色彩の統一が成されている。
作品の側面の様子。

-美術館・イベント

執筆者:hideki

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