
エストニア教育科学省は3月16日、エストニアのEラーニングの教材を世界に無償提供することを発表した。現在、数学や外国語など8つの教材をパソコンやスマートフォンから無料で学習できる。
提供する教材の情報はウェブサイトEducation Nation 99
に掲載されている。
OECDが世界79カ国・地域の15歳の生徒を対象に2018年に行った学習到達度調査(PISA)の結果では、エストニアは「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」の全ての分野でアジア圏外でトップになった。
エストニアの教育現場でのデジタル化がこのような結果をもたらしたとも言われている。
日本の学力低下を白日に晒した、ピザショック2003年。経済協力開発機構(OECD)が3年に一度行う国際学習到達度調査(PISA=ピザ) の結果、前回調査でトップクラスだった日本の国際順位 “の下落。読解力は14位まで急落した。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
この結果を受け、文科省はそれまでの「ゆとり教育」路線を転換。学習指導要領には、「思考力・判断力・表現力」の育成や論述や討論の充実などが盛り込まれた。

情報化時代において、必要とされるようになったのは、人工知能(AI) などが代替可能な暗記力や計算力ではなく、人間にしかできないクリエーティブな能力だ。
しかし、多くの学校現場では大学入試で求められないから、指導要領に沿った学びは浸透していない。
国際順位は脱ゆとり化で上昇傾向だったが、2018年の調査でも得点は伸び悩み、読解力は再び急落し15位だった。
では一体ランキングトップの国はどんな教育を行なっているのだろう?
常に上位にいる国々はエストニア、カナダ、フィンランド、アイルランド、韓国だ。(経済協力開発機構(OECD)加盟国の内)
IT産業に力を入れているエストニアは、教育でもフィンランドをモデルにしているといわれていたが、地位が逆転した。
トップのエストニアでは教育課程にロボット工学や3D(3次元)デザインを組み込み、情報化社会に適応する人材の育成に成功している。
将来的に、政府の持つビッグデータを活用して、一人一人が自身の特性や能力の発揮、希望の実現に近づけるように、パーソナライズ(各人特化)教育システムを構築するという。
国際競争を迫られる中、日本の教育力の真価が問われている。
ニュースではあまり伝えられないが、「PISA」はこれまでの筆記による調査を 2015年度からコンピューターを使った調査へと移行した。日本の参加生徒の「読解力」が低位に甘んじたのは 紙ではないコンピュータ上の複数の画面から情報を取り出し 考察しながら解答する問題などに戸惑ったのも急落の原因かもしれない。
エストニアでは、ITに関して優れた才能をもった児童・生徒については、教員側にも彼らの才能を伸ばそうという意識がある。

彼らは IT studentと呼ばれ、教員の代わりをするという。
教員がプログラミングについてすべてを知っている必要はないというスタンスだ。
日本でも4年生から「プログラミング教育」が2020年度から採り入れられたが、文科省の「小学校のプログラミング教育の手引き」を読むとの指導例にプログラミングの文字が躍っているだけだ。
一方、エストニアでは、
「プログラミング」は情報教育の一部でしかない。「入り口」として3つのトピック(デジタルアート、コード(書き込み)、デジタルセキュリティ)がある。
小学1年生から3年生まで平均して各学年30時間学び、日本の「図工」に当たる科目の3分の1に3つのトピックが含まれる。

まとめ
以上、デジタル教育先進国であるエストニアの教育事情を紹介した。
日本の教育現場においても、ITに関して優れた才能をもった子供達を、特別な能力を持った1人の大人の人間として認め、教員側も彼らの才能を伸ばそうという意識を持つべきだろう。
日本でもオリンピック強化選手とも言うべき、IT student の育成が国家の礎を築くのだ。

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