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ラジオドラマ 脚本 シナリオ「なめらかな放物線」

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梗概

「車泥棒とか強盗とか、レイプ魔とか?、」
「今週は行かないのか」、「今週も行くわ」
2人の入っていった部屋の方でホテルの部屋の方からガラスの割れる音が聞こえる
はい、大丈夫です、ちょっと車から降りて下さい。
「おーいナイフ、凶器に使われたナイフの指紋は出てるのか?」

環状8号線。高級住宅地の一画、南向き斜面に面した尾山台の自宅からメルセデスのSUVをなめらかに繰り出す。

都心へ向かう道は目黒通りの中原街道どちらも同じ時間。目黒通りだ平坦でつまらないから、私はカーブの曲線の美しい中原街道を選ぶ。

アクセルを踏む、ストッキングだけの足。靴を痛めたくないから、マノロ・ブラニクのハイヒールは助手席に放り投げてある。最近私はガーターベルトを好んで履いているストッキング片方外れても、片方だけ変えることができるし、トイレの時に簡単に脱ぐことができるから。

白金美術館の脇の仕事場から自宅まで毎日同じ道を走り、決まってこの道を選ぶ。

なめらかな放物線

多摩川沿いの土手を走る玉堤道路はガードレールもなく高層ビルが立ち並ぶ武蔵小杉のビル群が巨大な怪物のようにスライドする

私はここにあるスタンドで必ずガソリンを入れる。

定員はせわしなくパソコン画面とスマホを見比べながら、キーボードを叩いている。

タッチ画面でハイオクを選択し、燃料タンクにノズルを差し込む。

すると、1台の黒いランドローバーが脇に止まる。運転席の男はグレーのスーツを着て、ネクタイはワインレッドのストライプが入っている。上品な着こなしに見える

スマホをダッシュボードに乗せると、運転席から降りこちら向かってくる。左ハンドルだから車の先端を回りながら、私を見る。

足元から胸元を舐めるような視線に私はかすかな快感を覚える。

彼は待合室へ行きガソリンスタンドの店員と何か話している。

と、私の腰に腕が巻かれ、胸元に冷たい金属が押し付けられた。

「あー、いや」

「騒がないでくださいね」

何か、若い男の体臭と強い男性物の香水の匂いがする。

車体の影に引きずられながら私は

「お願いお金をあげる、車も持っていっていいわ」

「いやこっちは車も欲しいし、あなたのことも欲しいんだ」

「お願いやめて」

「黙れと言っただろ」

後部ドアから車内を押し込まれ、同時に腕を縛り上げられる。先程の匂いのせいか意識が朦朧としてきた。ガーターベルトが外れる。

ガソリンスタンドの店員はスマホの画面を眺めながら、画面に向かって小刻みに指を動かしている。こちらの様子に気づくそぶりも見せない

と、

ナイフを持った若い男と対面して先程のランドローバーの男が立っている

「そこをどけ、俺の言う通りにすれば怪我しねーから」

「青年。今ここで、やめとけ、自動車泥棒は大した罪じゃない。だか、誘拐とレイプとなると話は別だ、墓場行だぞ」

「そこをどけ」

私はおびえてその様子を見守るしかなかった

男が給油口からノズルを抜こうとしたその刹那。ランドローバーの男はナイフを持った腕をけり上げた。武器を無くした若い男は慌てふためきながら、暗い夜道へ逃げていった。

「あー助かった」

私は後部座席から運転席のヘッドレストに額をもたげた。

「大丈夫ですか」

ランドローバーの男は斜め後ろから声をかけてきた

「警察に連絡しましょうか」

いいえ、まだちょっとわからないわ

なんとお礼を言ったらいいか、ありがとう

「警察が来るまで待っていたほうがいい」

「どうして、行ってしまうの」

「あー、ちょっとね警察沙汰は都合が悪いんだよ」

「どうしてなの?」

「前科があるんだ」

ガソリンスタンドの建物の中では、今スマホに夢中になっている。

「警察にはあなたから連絡してください」

「ちょっと待って、お礼と言ってはなんですが一杯飲みませんか」

私は、ラブホテルがあるほうに目線を送った。

2時間後2人が目を覚まし、ルームサービスのコーヒーを頼みながら、彼はベッドに寝そべったまま体を起こし、私はテレビの前のソファーに腰を下ろす。

「もう一つお願いしてもいい?

何?

私の夫殺してくれない」

「人を、殺すって、簡単なことじゃない、確かに俺は前科者だ、殺人の仕方だって刑務所の中でよく聞いている。

でも誰か1人を殺すには自分の代わりに犯人になってくれる奴、罪を被ってくれる奴が必要になる。」

「車泥棒とか強盗とか、レイプ魔とか?」

「そういうことになるね」

あの少年が残していったナイフはこっちの手元にある

「きっと男の指紋がついてるわ」

よく拭いとかないとなあなたも触ったんだろ?

ええ、まぁ、

理由は何なんだ

浮気よ

曜日によって、とっかえひっかえ、数人の若い女と浮気をしているのよ

「亭主がガールフレンドと会っているラブホテルを探し出さないとな」

「いつも同じ場所に行くから私を知っているわ、登戸のラブホテルよ」

「今度いつそこに行くんだ?」

「毎週水曜日」

「今週は行かないのか」

「今週も行くわ」

「じゃぁ明日にしよう事件を本物にみせるには、には数日の流れが必要だ

早いほうがいい」

じゃあ来週じゃぁなくて、明日の水曜日、川沿いの登戸のラブホテルの駐車場で

彼は私の下唇をもう一度強く吸い始めた。

なめらかな放物線

私は再び中原街道のカーブを滑りながら想像する

夫のガールフレンドのことを。

どこにでもいそうな枯れたアイドル志望の女

私が夫を尾行したショッピングモールのバナリパ、ニタニタしながら笑っていた。

私に見せたこともないようなデレデレとした笑顔で。

私は許せなかった。

結婚したときに約束したはずだ、浮気や不倫は絶対しないと

SE

私は夫が女と会っている登戸のラブホテルの駐車場に着いた。

ランドローバーの彼はまだ来ていない

約束の時間になると彼が河沿いの茂みから現れ、車に乗り込んできた。

「君の旦那さんは間違いなくホテルに来ている?」

「電話をしてきて、上司と食事をしてくるから遅くなるって」

「相手は誰なんだ?」

「夫は何人といい思いをしてるのか、今日の相手は貧相な感じ、でもどこか放って置けないような、メガネをかけた前髪の長い女の子。」

「じゃあその子がシャワーを浴びている瞬間にやるしかないな

目撃者がいては困る」

彼はポケットからビニール手袋を取り出すと、グローブボックスに入っていたアーミーナイフを取り出す。

「よく拭いておかないとな」

「君も拭いておく?」

「私はいいわ、吹き方よくわからないし」

「そんなの簡単さ、ただ拭くだけだよ。

ドリンクホルダーにあったウェットティッシュを取り出すと金属の部分からグリップまで丁寧に拭いていった

私たちは駐車場の様子が見える場所に車を止める。夫の白いマセラティが見える。

「ここで待っててくれ」

「幸運の神様に成功するってお祈りしとくわ」

彼は身を低くしたままラブホテルの扉から中に忍び込んだ。

私はカーステレオの地元のFMをつけた

SE

2人の入っていった部屋の方でホテルの部屋の方からガラスの割れる音が聞こえる

私は全身の体毛が縮みあがり、お腹のあたりに冷たい物を感じる

違う、きっとうまくいくわ

うまくいくに決まっている

警報機が鳴り響く

火事だと思ったのか客室から数人の男女が駐車場に出てきた

やがて彼が窓の脇に立って叫んでいる。早く逃げろと言う様子で叫んでいる。

「何かあったの」私は大声で叫ぶ

彼は速く逃げろと合図を送り続けている。

ホテルの受付から黒いベストを着たデブの女が出てくる。やせこけた男と2人で顔を見合わせながら、携帯でどこかに電話をかけている様子だ。

彼のいた場所を見ると、もうすでに逃げたのかどこかへ消えている

何かトラブルが起きたんだわ、私も逃げなくちゃ

私はアクセルを踏み込む

SE

だが突然大きなはじけるような音がしてタイヤパンクした

お願いやめて

逃げなくちゃ

私は気にせず車をそのまま走らせる

ホイールが地面に叩きつける金属音がする。コントロールがうまくいかない。

SE

出口の門柱に左側のヘッドライトがぶつかり車が止まった

「なんで、どうしよう、どうしよう」

ラブホテルの駐車場の入り口の方から警察の車が何台も入ってくる。

赤いランプが駐車場の壁と天井を照らす。

若い警察官は私の車を少し気にしながらも、事件の起きている場所、皆が覗いている割れた窓ガラスの部屋の前に走っていく

さらに救急車が到着する

逃げれるんだろうか?

私の夫は部屋の中にいる。そして私は駐車場にいる。

警察は私たちの関係はつながりを怪しむだろう。

SE 窓を叩く音

振り向いた先に女性警官が立っている

すいません免許証見せてもらえます

なんかちょっと様子がおかしいですね、大丈夫ですか?

はい、大丈夫です

ちょっと車から降りて下さい。

女性警察はバイクパンクしたタイヤを調べると、

「あーこれ車をパンクさせる仕掛けが作ってありますね、いい車をねたんでいる悪ガキたちの仕業ですよ。

こちらにお住まいなんですね

女性警官は免許証の場所を指差しながら尋ねる

はい

無線のマイクから声が聞こえる

「客室で殺人事件が発生、犠牲者は東京都世田谷区尾山台4丁目、、

そこで婦人警官は目を見細める。今なんていいました?

尾山台4丁目、、

警部

婦人警官は無線で先にラブホテルに突入した警察官を呼び戻す

こっちに来てもらえますか

私は真っ先に容疑をかけられ、パトカーの後部座席に座らされた

「おーいナイフ、凶器に使われたナイフの指紋は出てるのか?」

「いやー何も出てきませんね全部拭かれてます」

よかった、彼が拭いてくれてあったから大丈夫

「でもこのナイフの柄のところにウェットティッシュが引っかかってますね」

「あーやめて」

「こんなものがありましたよ」1人の若い男性警官がメルセデスの中からウェットティッシュを持ってきた

助手席の床に無造作に投げ捨てられていました。

と、そこに、

黒のランドローバーがすごい音で突進してきた。ホテルの前で止まる。

中から彼が飛び出してくる

「そんな俺の妻はなんでこんなことに」

「連絡を受けてすぐ来たのに、しっかりしろよ、息をしてくれ」

警察官から引き離された彼は嗚咽を吐きながら泣いている

彼の後ろの警官が彼に声をかけている。

「あなたの奥さんで、間違いないですね」

「妻が私を裏切ったんですか?そして、誰が私の、誰が私の妻を殺したんですか」

彼は警官に気づかれないように、私のほうを、ほんの一瞬だけチラリと見た。

でも誰か1人を殺すには自分の代わりに犯人になってくれる奴、罪を被ってくれる奴が必要になる。

おしまい

脚本参照 ジェフリーディーヴァー 身代わり

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