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行ってきた。展覧会レビュー【桑久保徹】の個展  現代アート 現代美術 画家 ペインター 茅ヶ崎市美術館にてアートイベント 〜2021年2月7日(日)まで

投稿日:2021-01-27 更新日:

風がゆれる絵画たちが騒ぐ

茅ヶ崎美術館に桑久保徹の展覧会を見に来た

いくつかのポイントあげようと思う。

まず、展示室1。フェルメールの黄色い背景とムンクの緑色の背景がビタミンカラーのコントラストを成し、美しい。天窓から差し込む自然光。特に今日は曇りだったから、柔らかな光に絵画たちがざわめき、喜び、輝きを増す。

右に目を向けるとアンソールのピンク色の画面が柔らかく打ち寄せてくる。先ほど茅ヶ崎の海岸に行ったせいか、波が押し寄せるように、絵が生きている。

この絵は香港のコレクターが、展覧会に合わせて実費で送ってきたという。

入り口入って左側には、モノクロームで描かれたピカソの絵画である

ゲルニカのイメージをもとに作られた絵画はまるでサスペンスを思い浮かべる。

この部屋にのこされた残りの2枚。ピエールボナールとポールセザンヌ。フランス人の2人からは、柔らかな緑。なぜか心地よく、映画でも、写真でもない絵画であることの幸せを感じる

ひとつひとつの絵画を見るときに、巨匠の目を通して、また、いままでに自分が、巨匠の絵を見た絵画体験が背景に迫ってくる。

サントヴィクトワール山が雲の中に描かれているのは、画家の理想とイメージの形を目に見えるものとして表すという、絵画の本質を示している。

次に下の階に行ってみよう

やはり最後の絵が12月のアンリマティス。

他の11枚は遠景を描いているが、マティスの12月は自分の家、自分の部屋の中で絵を考えているようだ。

12枚あるはずの絵が。1枚足りない。絵が足りない。

この1枚のないことがミステリーを生み出している。

四谷怪談のおいわさんのように、そしてアイヌの蠣崎波響の12枚の肖像画がフランスのブザンソンで、1枚行方不明になっているように。

このような欠けた事が絵画鑑賞の物語の幅を広げている

注目すべきは隣の八角形の部屋にある11月のモディリアーニのエスキース。カレンダーのエスキースだ。

そこにはエルメスやシャネルといった化粧品の箱やチークやマスカラなどの実物が貼り付けてある。アッサンブラージュ。これはまさにマルセルデシャンのレディーメードと言っても過言ではない

帰りがけ、美術館の学芸員に軽く会釈をし、絵画鑑賞の余韻を楽しんだ。

茅ヶ崎駅まで歩いて帰ることにした

では果たしてこれは完璧な展示だろうか?何もすることなく全て大成功なのか?

公立美術館でやる現代美術作家の展覧会。まさに喜ばしいことだ。

何か欠点を探す。

例えば歴史の中のモチーフを用いること。

これは自らのオリジナルのイメージの放棄ではないか?

何かをゼロから、何も引用することなく、自分のイメージをぶつける絵画。もちろんそんな事は無いかもしれない。

あのジャクソンポロックだってパブロピカソから影響受けて、ピカソだってブラックのアイデアを盗んだ。

全てのアーティストは、すべての時代の中にある。

有名な絵画から影響を受けていようが、いまいが、結果的に自分のものにするのだ。

この展覧会はコピーライティングと言うものに対して1つの提言を与える。

10センチほどの小さなイメージにも著作権は存在していると言う。

だから展覧会の絵の写真を撮ることができないし、プリントすることもできない。

その息苦しさに対して、アーティストの盾になろうとしてくれているのが、日本で屈指のギャラリストの小山登美夫。ギャラリーではカレンダーを作った。ウェブサイトには展覧会の写真も出している。

アーティスト、作家、小説家、すべてのクリエイターにとって借用は必須のものでありながら、かといって真似はできない。

この狭間の中で、唯一無二の表現を模索するのが、われわれ現代に生きるアーティストの課題だろう。

 現代アート 現代美術 画家 ペインター

桑久保徹 (くわくぼ・とおる)

茅ヶ崎市美術館 「桑久保徹」展 展示風景 source http://tomiokoyamagallery.com/artists/toru-kuwakubo/

1978年神奈川県生まれ。2002年多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。今までに、ニューヨーク、ロンドン、ベルリン、コペンハーゲン、シンガポール、ソウル、台北、東京など世界各地で個展を行う。主な展覧会として「サイト-場所の記憶、場所の力-」(広島市現代美術館、2013年) 、「東京画 Ⅱ:心の風景のあやもよう」(東京都美術館、2013年)、「VOCA 2012」(上野の森美術館、2012年)、「アーティスト・ファイル2010 現代の作家たち」(国立新美術館、2010年)、「トーキョーワンダーウォール」(東京都現代美術館、2003年)に参加。受賞歴に第3回Dアートビエンナーレ最優秀賞 (2013年)、VOCA展2012 奨励賞(2012年)、第三回絹谷幸二賞(2011年)、トーキョーワンダーウォール賞(2002年)。作品は、ジャピゴッツィコレクション、第一生命保険株式会社、高橋コレクション、高松市美術館、タグチ・アートコレクション、トヨタアートコレクションなど、国内外で数多く所蔵。

茅ヶ崎市美術館 「桑久保徹」展 展示風景 source http://tomiokoyamagallery.com/artists/toru-kuwakubo/

概要

会 期 2020年12月12日(土)~2021年2月7日(日)

休館日 月曜日(ただし1月11日は開館)、12月29日(火)~1月3日(日)、1月12日(火)

開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)

観覧料 一般:600円(500円) 大学生:400円(300円) 市内在住65歳以上:300円(200円)

※高校生以下、障害者およびその介護者は無料

※( )内は20名以上の団体料金 

会 場 茅ヶ崎市美術館 展示室1・2・3

茅ヶ崎市美術館 「桑久保徹」展 展示風景 source http://tomiokoyamagallery.com/artists/toru-kuwakubo/

茅ヶ崎市美術館では、公立美術館における初めての桑久保徹(1978-)の個展を開催している。

桑久保は神奈川県を拠点に活動する気鋭の画家。現代美術に立ち向かうための方法として、自分の中に「架空の画家」を見出し、「彼に描かせる」という演劇的アプローチから創作をスタートしました。油絵具を盛り上げるなどの古典的な技法やモティーフを用い、心象風景を現代的かつ物語性豊かに紡ぎ出す表現は、国内外で高い評価を受けています。

桑久保が近年取り組んでいるのは、美術史に輝く巨匠をオマージュ、鮮やかな色彩と描かれた様々なモティーフが溶け合うことで、時空を超えた共鳴が生まれます。

茅ヶ崎市美術館 「桑久保徹」展 展示風景 source http://tomiokoyamagallery.com/artists/toru-kuwakubo/

過去の巨匠の生きた時代・制作の時間を現在の私たちの時間・生活と比較させることによって、時間の概念を強く感じさせる異次元空間を演出することを試み、現代美術の新たな理解と視座を得ることを企図します。

6年がかりでこのほど完成させたの「カレンダーシリーズ」など、公立美術館初となる個展が茅ケ崎市美術館(神奈川県)で開かれている。会期は2020年12月12日(土)~2021年2月7日(日)まで。

“名画カレンダー”のように、画家12人を選び12カ月に当てはめた。

「海岸沿いの画家のスタジオ」という共通の設定で、水平線が広がる海と、スタジオに配した巨匠の代表作などを画中画として、色鮮やかに描いている。

なかでも、画面すべてを点描で描いたスーラ(7月)は大変素晴らしく、現物と対面する価値がありそうだ。

source http://tomiokoyamagallery.com/artists/toru-kuwakubo/

 「最初は“僕”がいたんですけど、徐々に消えていった。画中の世界が外へ広がっていった感じ」マティスはセザンヌから学び、ゴッホは日本の浮世絵に影響を受けた。「全員が僕と同じように、過去から学んでいる-そう実感できた。他人の世界を理解すると、許容し合おうとする。優しくなれます」

引用https://www.sankei.com/life/news/210126/lif2101260036-n1.html

 「桑久保徹」展は2021年2月7日まで、月曜休。

茅ヶ崎市美術館 「桑久保徹」展 展示風景 source http://tomiokoyamagallery.com/artists/toru-kuwakubo/

記事参照

公式ホームページ

http://www.chigasaki-museum.jp/exhi/2020-1212-0207/

  • http://tomiokoyamagallery.com/artists/toru-kuwakubo/

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執筆者:hideki

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