
北阪昌人さんの書かれた「ラジオドラマ脚本入門」を筆者なりにまとめてみましたので、この記事で紹介します。
目次
1、ラジオドラマとは
2、ラジオドラマのタイトルの付け方
3、ラジオドラマのテーマの選び方
4、ラジオドラマの脚色に関して留意点
5、構成。謎、企み、アリバイ、謀(はかりごと)
6、ラジドラマ脚本の具体的な書き進め方。
7、ラジオドラマと小説の違い
8、ラジオドラマ脚本 実践編
9、まとめ
YouTubeでも説明しています。↓
1、ラジオドラマとは
ラジドラマは声で映像を伝えるものです。
ラジオドラマは音ではなく映像を見せることが大切。聞いた人の頭の中にできる映像の世界。
何か珍しいものを見たときに、電話で誰かに知らせたいとき、どういう風に言うのか?を考える。伝えたい世界観、空気感があって、それを相手がどんなふうに受け取るかを考えながら表現する。
僕は今火星に来ている。私の頭には角が3本生えている、など、テレビドラマより制限がない。時代空間ジャンル。自由自在なんです。ラジオドラマに不向きなものは。登場人物が多いもの。特に同年代の女性や男性が何人も集まって会話するシーンは聞き取ることが難しい。
設定さえちゃんと作れれば、擬音を使わなくても、音は伝わる。喉が渇いている状況を説明し、ようやく水が飲める。雨にも風にも本来「音」は無いんです、でも何かにぶつかったときに初めて雨音が生まれる。
感覚
触覚を使う。触った感じ、キスをしたときの味、など。他にも、赤い傘、オープンカー、など印象的なワードをたくさん盛り込みます。
(美術館はラジオドラマと相性がいい。筆者)
ネットで調べても、本で見ても、美術館の展示つの空間に立った時の匂いや天井の高さ、一緒に絵を見ている来館者のまなざし、など。いくらAIが発達しても、実感できないものです。
物語を創作の出発点は、自分の興味、共感、感心です。これがモチベーションになる。
2、ラジオドラマのタイトルの付け方

いかにも匂いがしてきそうなざらざらしているような感覚。色や味をタイトに取り入れることが大切。そしてタイトルも音声で読み上げられることを想定すること「その話面白そう」と言ってもらえるようなタイトルを選ぶことが大切。
3、ラジオドラマのテーマの選び方
より身近なところから入った物語ほど、心に残りやすい。
まずは終電を乗り過ごすサラリーマンと言う日常から始まる。どこにでもいる主婦の描き方から始まる。それが最後の大きなフィクションまで展開していく。
突飛な設定で始めると、それを超える、とんでもない話を作らなきゃいけなくなってしまう。そこが小説とラジオドラマの大きな違いです。小説の場合は、異なる異質なものをはじめにもってきて、読者を引き付けますが、ラジオドラマの場合は、より身近なところから物語がスタートしていく。
みんなが想像しやすい、共通項から始める。そしてやがて大きな想像の世界に入ってもらう。それがラジオドラマの醍醐味。そしてラジオドラマを執筆する時必ず1曲、テーマ音楽を決める。書く前にその物語の世界に入るために音楽を利用する。そうすることで何本か同時に締め切りを抱えていても、すぐに切り替えられる。
好きな曲がエンディングに流れることを想定して、また、クライマックスで流れることを想像しながら、ラジオドラマを発想してみて下さい。
コンクールに応募するとき、大事なのは梗概(コウガイ)(あらすじ)です。結論までしっかり書いてください。読む人のことを考えて400字詰め原稿用紙50から55枚程度とありますが、原稿を読みやすくきれいに。何かを参照にした場合は出典を明記することが大切。そして、落選した作品には直すのではなく、新しい作品を作ることが大切です。
ドラマは最初に意外性があると良い。壊れた傘が役にたつような、いわゆる「わらしべ長者」。マイナスをラッキーに変える。そんな話など。
4、ラジオドラマの脚色に関して留意点

1、視点を固定する。つまり誰の目線で語られるのかが、明確であればあるほど、聞きやすく感情移入がしやすくなる。
誰の視点で動いていくかというのを、はっきりさせること。
自分が伝えたい世界観を早い段階段階で提示する。
さらに、なるべく早くドラマを展開させること。小説は土地の説明などが、はじめに入りますが、それでは、その小説の朗読と全く変わらない。ラジオドラマの基本は「カット」なるべく早く本題に入ろう。
小説のラジドラマ化は脚本の練習になる。
ラジオドラマで提示される「亡国のイージス」アナザーストーリー「水平線の光の中の、また会えたら-チョウヒ静かなる姫-」では、1話でも完結する。そして4話でも完結する。と言うスタイルをとりました。女性工作員の主人公の目線で展開していく。水は映画につながると同時に音としての想起力も高い。
例えば太宰治の「走れメロス」の場合
小説の朗読にならないように、このドラマの「へそ」となるメロスが走り続ける場面から描き描き、なぜ、彼が走っているかをひもといていく。
村上春樹の「午後の最後の芝生」の場合、ファーストシーンは呼び出し音からにすると思う。芝生を刈るそして回想。彼女との別れのいきさつが語られていく。
初めの段階での世界観の提示が求められます。自分の言いたい世界観が早いうちから提示する。
5、構成。謎、企み、アリバイ、謀(はかりごと)
脚本を書き上げるためには、謎で物語を引っ張ることが大切。謎があるかどうか。それは人物をどれだけ深く描くかに関わってくる。謎は絶対必要だ。2つの謎を重ねてみると物語に複数の視線ができる。
そこに企みがあったり謀(はかりごと)があったり、ハラハラしたり、物語が終わった後、心に何かが残っているものです。そして、あるいはリスナーが時間を忘れる瞬間があると言う事です。
そのストーリーとプロットを共存させるささやかな抵抗にこそ「構成」を知るヒントがあります。
構成には企みはありますか?ストーリーを追うことばかり考えていませんか?構成の仕事は決められた時間内に何を伝え、手元にある要素をどう組み立てるか。それはドラマ作りと同じです。
イギリスの小説家エドワードモーガンフォースターの言葉があります。「王様のなくなって、そしてお日様はなくなりました」。これがストーリーで、「王様がなくなって、悲しみのあまり、お日様はなくなりました」これがプロットです。
構成を考えるときに大切なのは、時間経過を書くのではないと言うことです。ストーリーをなぞってはいけません。要はプロットを書くことです。ハコガキと言う枠に甘んじるとプロットが抜けてしまいます。
6、ラジドラマ脚本の具体的な書き進め方。

JOB(人物.音.舞台)
意識すべき3つのことをJOB(人物.音.舞台)です。このシーンには誰が出てきて、どんな音が流れてて、舞台はどこなのだということ。
ステップ1 素材
男は別れ話をしようと思っている。女はプロポーズを待っている
ステップ2届けたい思い(届けたいセリフ)
ステップ1の素材に重ね、足していきます。
「女は、叫ぶ、「かっとばせ!!」。男は心で思う。「フォアボールダッシュってどうすんのよー」早くゲームセットにしたいのに」
ステップ3
全体が見えたら書き出します。注意点は構成はあくまでも青写真であること。書き始めるときにとらわれるものが少なければ少ないほど良いものができる。書き込みすぎないようにする。
7、ラジオドラマと小説の違い
ラジオドラマと小説の違いその1 、余韻
大事なのはシーンの終わりに、必ず余韻を持たせること。
ラジオドラマを聴き終わった後、曲が流れている。その時にリスナーが一体どんな気持ちでいるのか想像してみること。余韻が大切です読後感ならぬ聴後感。
シーンのイメージを作り、最終的に決着をつけます。
ラジオドラマと小説の違いその2、伏線
伏線は、何々をすると、どうなってしまうのか?何かのきっかけ、キーポイントになるものです。実際に聞いてる人が感覚に寄り添うべきなんです。そろそろ退屈しそうだなぁとか、どうやったらこの伏線が効いてくるのかなあとか、リスナーが今、登場人物が、どこで、何を、しているか、イメージできているようにします。
伏線のポイント。冒頭のシーンに「赤い傘」が出てきたとして、ラストシーンで犯人のアリバイの証拠品となっても、聞いている人は覚えているか、疑問です。
実際にラジオドラマを聴いてみると伏線のシーンが離れていたり、印象が弱かったりする場合があります。
ドラマを聞いていて「あれ?そもそもなんでこの人には父親がいないんだっけ?」と疑問を持たれてしまっては集中力が切れてしまいます。
ラジオドラマは、些細なたった1つの事でも疑問を持たれてしまうと、そこでせっかく聞き入っていた意識が飛んでしまうのです。ですので、伏線は遠すぎず、印象づけることが大事。
例えば音、匂い、感触など、五感を使ったシーンで伏線に使うアイテムを登場させるのが効果的です。
ラジオドラマと小説の違いその3、プロット
新聞配達を例に例えて、決められたコースを最後まで新聞を配り抜くこと。これが言うなれば「ストーリー」。そして、配っている間の要所要所でいかにドイツ語の単語を覚えるかを考える。これが「プロット」ドラマはただストーリーを追う物ではない。
ラジオドラマと小説の違いその4、省略
ラジドラマは省略が生きてきくる。
1回聞いて、理解できる形容詞、情報は稀で、せいぜい2つまでが限界だろうと思う。
例えば父親と娘が爪切りをとってくれと言う状況を、この2人の関係がどういう状況なのかを入れ込んでいくと、リスナーはイメージしやすくなってきます。妻の話を適当に聞きながら、野球中継を見ている夫と、友達の恋愛相談の電話の最中にネイルをしている女子大生。みんないつも人の話に夢中と言うわけではないんです。
なのにラジオドラマのセリフを書こうとすると、みんなが真剣に耳を傾けて当然、みたいな空気が流れていたりします。人はそんなに他人の話を聞きません。
会話の中にお互いの登場人物の性格が現れるように演出を心がけます
なぜ、「好き」と言うより「嫌い」と言った方が、「より好き」に思えるのか?それこそがセリフの醍醐味です。
正直に言わない方がより多く伝わるのです。特にラジオドラマは、省略が生きてきます。リスナーが「あーこの一郎ってやつ、本当は花子が好きなんじゃないのかな」と気づいてくれさえしてくれればいいのです。
情報や感情は最小限に留めておいた方が、後に効果的に作用するんです。
物語が進んでいく中で、リスナーたちがそれぞれに結論を導き出し、そうなんじゃないかなぁ?と思わせることが大事なんです「嘘」の要素を付け加えておくべきです。
脚本と言うのは、どうしても2次元上に言葉を置く仕事です。それを役者さんが声に出して初めて立体になる。
僕たちが普段の生活で交わす会話。これは基本、ほとんどがドラマにはなりません。
だからといってセリフが普段の会話から遠く離れているかというとそれも違います。
大抵の人は、思っていることをそのまま口に出してはいません。毎日毎日言えない言葉が心の底に沈んでいきます。湖の底に沈んでしまっている。その言葉たちが何かの拍子に浮かび上がったりします。「その言えなかった言葉たち」にこそドラマがあり、いいセリフのヒントがあります。
好きな人がいる。「好き」と言いたい。でも言えない。だからドラマになる。世界中の人がみんな思ったことを口にしていたら、この世にドラマは存在しないくなります。思ったことを口にするわけではない。それどころか反対のことを言ったりします。
セリフを書くとき、頭の片隅にこの言葉をキープしておいてください。

ラジオドラマと小説の違いその5、場面転換
場面転換の方法。退屈な板つき芝居を避けるには?
1つの場所だけの会話では面白みがなくなってしまうので、場面転換が必要です。場面転換のコツは「今いる場所はどこか?誰がしゃべっているのか?一体いつの話なのか」つまり、場所人物日時の3つを常に意識すれば大丈夫。
そのため目まぐるしくシーン(舞台)が変わるのはあまり良くありません。
場所の移動移動だけではなく、時間の移動も激しく行ったり来たりするのは控えるべきです。
またその逆に「板つきの場合が多い多すぎる!」すなわち同じ舞台で、ただ2人がずっと話をしているシーンが長いと言うことです。映像の場合カット割りができますから退屈しない。でもラジオドラマの場合は、退屈な板つき芝居を避けるために、シーンの切り替えが大切です。
例えば電話が一本かかってくるだけでも映像よりも緊張感のあるシーンが作れる。
主人公の心の声や想像が物語を広げることになる。あるいは2人が会話する部屋に舞い込んできたチョウが全体の空気を変えることになるかもしれない。
ラジオドラマの構成のポイントは大きな事件や仕組まれた謀より、そんな空気感の切り替えに気を使うことが求められている。
時間経過については、話を一体誰の目線で聞いていけばいいのか?聞いているのか?を意識するのが大切です。
ラジオドラマと小説の違いその6、サウンドエフェクト(SE)
サウンドエフェクト(SE) の叙情音と叙事音。
ラジオドラマは音声表現だけなので、今登場人物が一体どこにいるのか、サウンドエフェクトやセリフ、音楽を駆使して説明しておく必要がある。
救急車の音、雨、これか場所の特定の役割をする叙事音。
反対に心象風景を表したものが叙情音。これは登場人物の心の動きを表したもの。この2つの円が重なった部分を作らなければいけないんです。心象風景を広げる特性を持っています。雨の使われ方などがそうです。現実の音は場所の特定を役割をする。サウンドエフェクトはこのように使います。
抒情音であればあるほどそこに叙情的な要素を加えられないかどうかを常に考えるべきです。
もう一つサウンドエフェクトで大事な事は、雨も、風も、実はそれ自体に音はなく、何かにぶつかったときに音が生まれる。と言うことです。何かにぶつかることによって、それがどんな雨なのか?どんな風なのか?がわかるのです。
人はその人自体ではなかなか個性がわからない。でも誰かと、あるいは何か事件と、ぶつかることによって、その人の性格や個性が見えてくるのです。
日常に溢れている音の成り立ちや、大きさに、敏感になることで、人生についてもわかってくると思います。
サウンドエフェクトで場面展開をするのは避けた方が良いです。
音だけでその場所をどう表現するか?そのネガティブな要素をいかにプラスに転じるか?はラジオドラマの脚本の面白いところです。
喫茶店だったら「あ、ブレンド、ください」と言うセリフで表現するなら、書き手である自分がドラマを運びやすいように、舞台を設定するのではなくて、聞き手の頭の中に「像」を結ぶことができるかがポイントです。ただ、場所を説明するときに、書きすぎてはいけないんです。余白を残すこと。
リスナーに想像する余白を残すことが大切です。書きすぎないこと。これがラジオドラマの真髄みたいなものです。Too Muchが最も良くないんです。書き手がどんなに技術を駆使しても、聞き手が全く同じ喫茶店をイメージする事はまずありません。優れたラジオドラマがいつまでも心から消えずに、深く残り続けるのは、書き手が作った世界を受け入れたからではなく、聞き手自身が紡いだ「像」だからです。
(これは彫刻とよく似ている。彫刻は像でありながら、像ではない。)筆者。
8、ラジオドラマ脚本 実践編

キャラクター登場人物の描き方
1
まず登場人物の名前は大切ですが、悩んでしまいすぎると先に進むところができないのですんなり決めた方が良い。
音の響きに気をつける。ナイーブな名前にしたい場合サ行を加えると良い。
登場人物の性格が、がざらっとしたような場合は、濁点を使い、名前の付け方には自分なりに納得してからつける方が良い。
名前をつけた理由を「音」で説明できるべきです。
もう一つは同じ名前の人は何も出さないようにする「田中」さん「田所」さん「田上」など。音声表現ですので、巧妙に計算している名前するべきです。聞いている人が混乱しないようにしなければなりません。
2
年代や世代を考える。サービス業の方の名刺を見ることを勧めます。世代の編成に敏感になるべきです。
3
どう読んでいいかわからないような名前はやめるべきです。一見してどう読んでいいかわかる名前を使うべきです。そして、カオリ、ヒロミなど、すぐに性別が判明しない名前もお勧めしません。
具体例
地下鉄のある駅が舞台で、そこで採集したReal voiceもとに想像して描いた物語。自分の好きな音、漢字、リズムの名前になってしまうのを避けなければならないので、本棚の背表紙にある作家の名前や、年賀状などから、苗字力、名前力を鍛えることも必要です。
特に若い女性の場合、若い男性よりもバリエーションがつきにくい印象がある。音声だけの場合、しゃべらない=そこにはいないと言うことになってしまう。
だから「セックスアンドザシティー」のような4人の全女性が関わってくる場合、ラジオドラマ的には難しくなります。
ラジドラマ脚本の見直し。チェック方法
1.音を意識しているか?
孤独な老人が1人缶詰を食べている。そこ1本の電話。それがサバカンだとしたら、そのまま寂しい感じだが、桃とかパイナップルの缶と言う、あまり寂しくないような言葉を選ぶことで、かえってわびしさや切なさが倍増するんです。例えば数の子。なじみが語調でセリフが作られると良いでしょう。
2.セリフが展開しているかどうか?
一日の出来事をセリフにしてみた時、会話がダラダラ続くことが多いです。普段、人は、そんなに大事なことなど話しません。失恋していても、親の病気を抱えていても、友達と話すは話すのは天気の事や、授業の事。
突っ込んだ話を変える機会はそんなふうにないのが実際のところです。
ですがラジオドラマの場合、緊張感のあるセリフのさじ加減が大事です。
会話が始まった場合、いつかどこかのタイミングで話が展開しなければ緊張感が保てないんです。
脚本を書いてチェックする方法はAとBの登場分人物が出てきたら、まずAだけのセリフだけ抜いて読んでみる。次にBだけの会話のセリフを抜いて読んでみる。段取りを延々と続けるのはやめた方が良い。
3.言葉が立っているか?
ラジオドラマの場合、セリフで顔、物、空等を映したり、強調したり、何かを暗示したり、嘘や弱さまで表現しなければならない。
例えば、主人公が好きな女の子では無い、誰か別の人と一緒に学食でランチを食べていて、嫌いなグリンピースを登場させておく、などです。「グリンピースご飯たくさん食べてね」と、「たくさん食べてね、グリンピースご飯」というかで印象が違います。
いわゆる言葉を置きに行くと言うことがあります。「初めて使う言葉だから、ちょっと変に聞こえたらごめん」「いいよ」「愛してる」と言うように、「初めて使う言葉だから」とセッターがボールをしっかり上げてあげないとアタックが打てないんです。伝えたい言葉をクローズアップするために、上手にアシストするんです。言葉を立たせるとは、そういうことです。
はじまりの書き方。説明ゼリフよりもモノローグ
冒頭の5分が勝負です。冒頭のシーンで引き込まないと、ラジオのスイッチを消されるか他局に帰られてしまう。
恋が始まりそうな場合、いきなり話しかける。女性が男性にいきなり話しかけてくるシーンから始めた方が、どきっとします。
段取りのシーンを描きたくなる気持ちはわかるが、ぐっとこらえて、出だしでリスナーの気持ちをつかむこと。冒頭のシーンを退屈でないようにすることが大事。
物語のモノローグは3行ルールと言う課題を与えたほうがいい。3行以上あるとテンポがずれ、窮屈になってしまう。
モノローグは極力短く、雰囲気を損なわないように。主人公が3人称の場合、風景の描写や心情の吐露などは、ナレーションで処理する方法もあるが、むしろ1人称に視点を固定し、その人目線で語った方が臨場感やドライブ感が増す。
短いドラマで変わった設定をシーンで表そうとすると、説明くさくなってしまいます。その場合、最初にモノローグで登場人物の特異体質を表現してしまい、物語が進んでいく上でどんなふうに使われるのか、気にしてもらっていた方が良い場合もあります。
設定は状況次第ですが、ラジオドラマに1番近いものは「電話」です。昔の、いわゆる家デンや公衆電話。まず誰だか名乗らなければいけない。そしてどんな状況か?声を頼りに想像するしかない。これがラジオドラマです。
ラジオドラマのネタを探す方法
僕には何ができるんだろう、何をしたら後悔なく死ねるだろう。北阪さんはオーストラリアへの取材に同行した時、成田までのフライトでそんなことを考えたそうです。
自分が見たもの、聞いたもの、感じたこと、思ったことをぎゅっと鍋に押し込んで、形がなくなる位、煮込んだら。そして出来上がったスープが誰かに飲ませてもいいと思うのであれば、それはもう飲ませて良いのではないか。と考えたそうです。
嫌な思いも、悔しい感情も、ネガティブなことも、煮詰めればスパイスになると。
(これが僕がヨーロッパ留学で体験したことをラジオドラマにしたいと思う理由だしモチベーションだしこれが今とてもやってみたい。)筆者
地方のラジオドラマ脚本コンクール
自分自身が実感できないものを書くと、その熱量は確実にリスナーに伝わってしまう。なるべく体験していることを書いてください。実感、共感がないものはそれほど強く相手に伝わらないことを知っておくべきです。
地方のラジオ局が主催するラジオドラマの脚本コンクールがありますので、ぜひ挑戦してください。
旅費は初期投資。かかる費用は「何を見るか」に費やすべきです。
地方のドラマに挑戦すると言うのは自分の中に新しいものを取り入れる良い機会です。
物理的に行けなければ、地方出身の人に話を聞いてみたり、出身の有名人の作品に触れてみるのも良い。
ラジオドラマ脚本8箇条
1、登場人物をしぼる。
2、登場人物の名前のつけ方に気をつける。
3、視点を固定する。
4、セリフを展開させる。
5、SEだけで場面転換しない。
6、五感をフルに活用する。
7、タイトルとあらすじを丁寧に。
8、ラジオドラマは音声による映像表現である。
9、まとめ
私は、YouTubeを撮影し、動画撮影において、台本の大切さを感じました。そこでブログを書き始めましたが、どうしてもアクセス数が伸びません。伸びないと言うよりは収益に全くつながりません。よくてアマゾンのアフィリエイトでクーポンが送られてくる位です。
私自身彫刻家という本業を行いながら、どのように芸術家としての活動を知ってもらえるか、日々考えておりますが、彫刻制作をしながらラジオを聴いていて、ラジオドラマが想像させてくれる世界の魅力に気がつきました。YouTubeやブログなど、個人で発信するメディアにとって、ラジオドラマは将来を切り開いていけるような気がいたしました。
今までの時代は、テレビやラジオ局新聞社のようなマスメディアと呼ばれる企業によるブロードキャスティングが主流でした。ですが、プライベートな個人の発信するSNSやYouTubeメディアにこそ共感を持っていただくことができ、結果としてより多くの人に声が届くのだと信じています。
これからの時代、芸術家は絵や彫刻だけでなく、文章や映像。そしてラジオドラマのような脚本と音の世界も発信していく。
また芸術家に限らず、全ての人たち。そう!目の前のあなた!このブログを読んでいるあなた!が、生きていることを世界に向けて発信すること。発信し続けることが大切です。
発信することで民主主義の自由を形作るのです。
その点において、このラジオドラマ脚本入門。北阪先生の著書は、私に衝撃を与えてくれました。今このブログにアウトプットすることでより深く理解し、また、自らの芸術表現に活用させていただきたいと考えています。
この考察とアウトプットが皆様にとって有益となれば幸いです。
2020年12月29日 45歳 飯沼英樹
画像引用 unsplush