
Sheena Iyenger 選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 文春文庫
この記事ではSheena Iyenger 先生の、「選択の科学」コロンビア大学ビジネススクール特別講義について、備忘録の意味も含めて要点をまとめてみました。あえて引用を用いておりませんので、著作と異なる表現もあると思います。ご理解の程よろしくお願いします。
目次
ポイント1
自由とは自分のための選択肢を作り出す権利のこと
ポイント2
高ストレスのはずの社長の平均寿命が長い
ポイント3
私たちは生きるために、自分の物語を自分に語る。
ポイント4
京都留学。個人主義と集団主義。
ポイント5
集団主義の主な類型の2つ
ポイント6
取り決め婚
まとめ
ポイント1
自由とは自分のための選択肢を作り出す権利のこと
選択したいと言う欲求は自然の心の動きであり、おそらく生き残るために欠かせない働きだからこそ、発達した。
自由とは何か?自由とは選択する権利、つまり、自由とは自分のための選択肢を作り出す権利のこと。
それなのに、この欲求はどんな利益とも、全く無関係に作用することが多い。そんな時、選択の力は大きくなりすぎて、単なる目的を達成する手段ではなく、それ自体価値があり、必要なものと化してしまう。
ポイント2
高ストレスのはずの社長の平均寿命が長い
これ以上ないほどぜいたくなホテルだが、チェックインしたが最後永久に出られない。
なぜ満たされた環境にもかかわらず、動物園の動物の平均寿命が短いのか。なぜ高ストレスのはずの社長の平均寿命が長いのか
持続的な限界状態は、身体面では免疫システムの弱体化や心臓障害さえ誘発することがある。
これは常同症と呼ばれ、ほとんどの生物学者によって不安の印と見なされている。
セントラルパーク動物園のホッキョクグマに、動物行動学者は本能を発揮できるような課題や機会が必要だと言う判断を下した。
ホッキョクグマは自分がどこでどうやって時間を過ごすかを、また自分で決めることができると感じたかった。つまり自分の運命を自分の手の内に取り戻す必要があったのだ。
野生のアフリカ象の平均寿命が56歳だが動物園で生まれた象は17歳だ。
出生数の減少動物園のパンダにとっては深刻な問題だ。
収入の高い仕事ほどプレッシャーが大きいにもかかわらず、感情動脈性心臓病で死亡する確率は最も低い。職業階層の公務員などが最も高い階層の公務員の3倍も高かった。
猛烈上司が心臓発作を起こして45歳でぽっくりいくと言うな形にハマったイメージと全く正反対の結果が出た。
このような結果をもたらしたものは、仕事に対する自己決定権の度合いが相関していたことにあった。
自分自身は部下の仕事の采配を握っていること。
会社の利益責任をおうと言う事は確かに大きなストレスにはなるが、それよりも部下の何枚あるかわからないメモをページ順に並べるといった仕事のほうがずっとストレスが高かった。
仕事に対する裁量権がほとんどない人たちは背中のコリや腰痛を訴えることが多かったのが、一般に病欠が多く、精神疾患率が高かった。これらは飼育と動物によく見られる常同症の人間版であり、その結果から生活の質は著しく低下したのだ。
ポイント3
私たちは生きるために、自分の物語を自分に語る。
目に見えるものに解釈を与え、複数の選択肢の中から1番実行できそうなものを選ぶ。
実体験は走馬灯のようにとりとめもないものだが、それを1つの形に固定することができる。
このような他者によって課されるナラティブな語りはたとえ陳腐で感傷的なものであっても重要な役割を果たす。
こうした語りを通して、人生の意味を多少なりとも解き明かすことができるのだ。
私たちには、選択の物語を見出し、他者に伝える義務があると言っても過言ではない。
このような物語は知ったが最後、決して他者によって奪われることがないからだ。
たとえ財産や家族や愛するものを失なおうとも、選択の物語にしがみついてさえいれば、選択を実行する能力を失わずにいられる。
隷属状態が、人間の存在全体に及ぶと考えるのは誤りである。人間の大切な部分に、隷属は及ばないのだ。確かに肉体は主人に従属し捉えられているかもしれないが、精神は独立している。
私たちは物語を分かち合うことで、創造と言語の中で選択を生かし続けることができる。そして肉体的に不可能の時でも、精神で選択を実行する力を、互いに与え合うことができるのだ。
アメリカでは、この物語がアメリカンドリームの灯を燃やし続けている。
台本や行動のもたらす結果は人によって違うか、選択したいと言う要求と必要は、万人に共通する。
私たちは気質、文化、言語など、様々な違いはあっても、選択のおかげで互いに結びつき、自由と希望について語り合うことができるのだ。
ポイント4
京都留学。個人主義と集団主義。
筆者は京都に留学した時、緑茶に砂糖を入れる要望を出したが断られたエピソードがある。
何かを選択する時、あなたが真っ先に考えるのは、自分が何を求めているのか、何があれば自分は幸せになるのか、と言うことだろうか?それとも自分だけではなく周りの人たちにとっても、何がベストかを考えるだろうか?この一見単純な問題が、国の内外を問わず、すべての文化や個人の大きな違いの中心に潜んでいる。
近代の個人主義の直接のルーツは、17世紀から18世紀の啓蒙運動に求められる。
ルネデカルトのギリシャ哲学「われ思うゆえにわれあり」に、すべての知識の基礎を求めた。
信者と神と直接つながると言う考えのもとになったプロテスタントの宗教改革。
宗教に頼らず世界を理解する方法を生み出した、ガレリオガリレイやアイザックニュートンなどの偉人たちによる、科学的前進。長きにわたって社会を支配してきた伝統を拒絶し、代わりに理性の力を信奉する、新しい世界観を生み出した。
そこでは一人ひとりの人間が、聖職者などの外部の力に頼らずに、自分にとって正しいこと、自分一番良いことを、自力で見つけ出す能力を持っている。
アメリカの建国の父たちは啓蒙主義の哲学特に普遍的人権になるものが存在すると言うジョンロックの思想に大きな影響を受けた。こうした理念を合衆国憲法や権利章典に盛り込んだ。独立宣言と時を同じくして個人主義の歴史におけるもう一つの画期的な出来事が起こった。それは1776年のアダムスミスによる「国富論」の刊行である。彼はこの本の中で一人ひとりの人間が経済的利己心を追求すれば、あたかも「見えざる手」に導かれると書いたように、社会全体の利益が達成されると主張した。
人間は、他者に善だと思われる生活をすることをするよりも、自分にとって善だと思われる生活を互いに許し合うことで、より大きなものを得るのだ。
だが個人主義と言う概念は比較的新しく、この概念を考え方の指針としているのは、世界でもほんの一握りの人だ。
ポイント5
集団主義の主な類型の2つ
京都に留学したことがある著者。日本などの集団主義社会に属する人々は選択を行う際、「私たち」を優先するように教えられ自分と言うものを、家族、職場、国、村などに自分たちの属する集団との関係性で捉える。
誰もがナンバーワンを目指す代わりに、集団全体の必要が満たされて初めて、個人が幸せになれると考えられている。例えば「負けるが勝ち」と言う日本のことわざに込められているのは、我を通すより和を重んじる方が望ましいと言う考え方だ。
重要な影響に儒教がある。儒教は、中国に源を発し、後に東南アジアや日本にも広まった古くからの文化的習慣を法典化したものだ。孔子は「論語」に描いている。息子が親を愛する。これを心から消し去ることができない。このような逃れられない関係を出来る限り円満なものにするのが理想とされた。
この種の集団主義は今なお東洋で非常に重視されている。
東洋の文化に属する人は、人生を個人の意向と言うよりは、義務と言う観点から理解していることが多い。
集団主義の主な類型の2つ目はヨーロッパに個人主義に対する揺り戻しとして現れた動きである。カール・マルクスなどの政治理論学者は資本主義的組織を厳しく批判した。個人による利益の追求を肯定することで、少数の上層階級が多数の労働者階級の犠牲のもとで利益を得る体制を持続させているさせると言うのだ。
すべての人が名実ともに平等であるような新しい社会秩序を打ち立てようと言う呼びかけた。大衆主義的な色合いの強いこのイデオロギーは、個人主義とは対照的に利用できる機会の数を全体として増やすことよりも、一人一人が一定量の資源を確実に利用できるようにすることに重点を置いていた。
この哲学が世界に与えた最も重大な影響は、1917年に10月革命が勃発し、共産主義者のボルシェビキがロシアで権力の座につき、最終的にソビエト連邦の成立をもたらしたことだ。
ポイント6
取り決め婚
恋愛結婚は熱く始まるが冷めていき、取り決め婚は冷たく始まるが熱く、暖かくなると言う事はあり得るだろうか?
時間が経つにつれて互いのことが好きになるだろうと言う前提のもとに、共通の価値観や目標を持った2人が引き合わされる。これに対して、恋愛結婚は、なんといっても愛情だ。出会った瞬間、不思議な力が働いて強く惹かれあったと言う話をよく聞く。そのビビットくる直感は、2人が結ばれる運命にある印とみなされるのだ。
実際、20年連れ添った時点で夫婦の9割が、当時感じていたほとばしるような情熱を失ってしまうことを、脳活動の調査や直接測定が示している。
選択とはいちどきりの決断ではなく、やり遂げると言う意志を持って何度も選び続け、最終的に選ばれると言うプロセスなのだ。
まとめ
この本は選択を勝ち取ることによって、生きる方法を教えてくれます。
選択の種類は他人の物語を聞くことによって覚えられます。
困難な状況においても果敢にチャレンジして、乗り越えた経験のストーリーを聞くことで選択肢を作り出す。
なぜならば、たくさんの選択肢を得る権利は長生きの権利だから。
そして私は思います。心配事に思考を支配されることなく生きる事が幸せじゃないかと。
私にとって幸せへの時間とはクリエイティブな時間です。
是非この本を手に取って読んでみてください。
目次
ポイント1
自由とは自分のための選択肢を作り出す権利のこと
ポイント2
高ストレスのはずの社長の平均寿命が長い
ポイント3
私たちは生きるために、自分の物語を自分に語る。
ポイント4
京都留学。個人主義と集団主義。
ポイント5
集団主義の主な類型の2つ
ポイント6
取り決め婚
まとめ
アイキャッチ引用https://unsplash.com