
2021年5月8日神奈川県、横浜市、横浜駅に直結した「横浜そごう美術館」にて行われていた「篠田桃子展」を見に行った。展覧会レビュー感想
皆さんこんにちは飯沼英樹です。
今回神奈川県の横浜そごうで行われていた篠田桃子の展覧会を見に行ってきたので、感想とレビューをこのブログ記事として書いています。
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1958年 鍋屋バイテック会社蔵 画像引用 https://www.sogo-seibu.jp/yokohama/topics/page/sogo-museum-shinoda-toko.html
僕にとっての篠田桃紅はベルリンのギャラリスト、コーネリウス・プレーザーが初めて僕の作品を扱った時、ケルンで行われたアートフェアで、僕の作品の隣に並べてあったのが、篠田桃紅の墨の絵画だった。1999年その不思議な絵の魅力に全く気がつかなかったが、今回の展覧会でリトグラフでは到底味わうことができない、本物の絵画の強さ、吸引力、ボリューム、マチエール、厚み、色彩、反射、墨の色、吸収、強さ、感動しまくりの展覧会だった。
展覧会場は撮影することができないため、すべて文章によって表現したいと思う。
まず魅力的なのは入ったところから始まる大規模な年表だ。
生まれてから、そして今年の3月1日に亡くなるまでの108年を、時代を明確に詳細までが展示されていた。その年表には目を見張るものがあった。
だが何よりも素晴らしかったのは、マスターピースが何十点も揃った大規模な展覧会だ。
この展覧会は長野、富山、岡山、神戸そしてこの横浜を最後の展覧会とし、日本全国を巡回する展覧会だった。
展覧会のタイトルは 篠田桃紅展 とどめ得ぬもの 墨の色 心のかたち と言うタイトルだ。
展覧会場の入り口で出品作品リストが配られた。横浜そごうでの展覧会は2021年4月3日土曜日から5月9日の日曜日。私が訪れたのは最終日の1日前の5月8日土曜日である。
現在、篠田桃紅の作品は岐阜現代美術財団が900点ほど所有しているから、岐阜に行けばこれらの作品も見ることができるが、そこだけでは集め切れない様々な所蔵から集めてられていた。今回はNBK鍋屋バイテック会社からの作品がたくさん出ていた。
どの作品からどう解説したらいいのか戸惑うほど、年代とともにスタイルが移り変わっていくため解説が難しいが、
私が中でもこれこそがマスターピースだと言える3点を選んで解説したいと思う。
第3位

1965年 公益財団法人岐阜現代美術財団蔵 画像引用 https://www.sogo-seibu.jp/yokohama/topics/page/sogo-museum-shinoda-toko.html
1965年帰国後、田園調布のアトリエにて制作されたであろう、「行人」33番。英語のタイトルはフォーザグリーン。作品サイズは193センチ× 129.5センチ。素材は墨、銀泥、緑青、和紙である。所蔵は岐阜現代美術財団が持っているものだ。白い紙に真っ黒な太い筆でひらがなのの「く」そしてまっすぐにひかれた滝のような上から下への線。その隙間から現れる緑色の帯。
大胆な構図の中に篠田桃子の真骨頂が見られる。細い針のような線が特徴的な篠田桃紅の絵画から、一気に太い筆で墨と言うよりは色の面としての形が作られている。この作品は新たな時代を作った篠田桃子の代表作と言えるだろう。
第2位
展覧会場のほぼ真ん中あたりにある40番の「火」英語のタイトルはファイヤー。制作年は1988年。作品のサイズは209センチ× 148.5センチ、素材は墨、銀泥、銀地、和紙。所蔵は岐阜現代美術財団だ。
緊張感のある銀色の画面。銀箔の貼られた画面にまず黒い墨、その上に白く濃厚な面、さらにもう一度黒が重なる。色の持つ力のせめぎ合い、そして形態の中にはじけるような筆跡。筆の払いの跡。ものすごい緊張感でこちらに迫ってくる。マスターピースと言って間違いない。この絵のマチエールはゴツゴツとした凹凸があり、プリントでは決して伝わることができない実物の強さが溢れ出ている。もし今回の展覧会で見ることができなかった人は、岐阜の美術館に行く価値があると思う。
そして私が第1位にあげたいものは、

1994年 公益財団法人岐阜現代美術財団蔵 画像引用 https://www.sogo-seibu.jp/yokohama/topics/page/sogo-museum-shinoda-toko.html
1994年の作品。展覧会の番号45番、「風の影」英語のタイトルはシャドーオブザウィンド、作品のサイズは横長の画面で縦85センチ× 180センチ。素材は墨、金泥、銀泥、銀地、和紙。所蔵は岐阜現代美術財団である。
この作品は油絵のような重厚な重なりがあり、凹凸の鈍い色や明るい色も、黒の上の朱の赤。そして銀と金。それぞれがものすごい緊張感とハーモニー、そして画面いっぱいに、それでいながら画面にぴったりと収まった形態。色面と先の細さ。全てが渾然一体となった完璧なる構図。色そして銀地に黒の墨が滴り落ちた時、まるで焼け落ちるような、焦がしているかのように、黒い墨が周辺の素材に染み込む。焼き焦がしたような跡のようにぼんやりと黄色くにじんでいる姿を見れば、まるで生きている妖怪のようだ、魂が生きているようだ。
以上がこの展覧会のレビューであり、解説である。そして感動を言葉にしたものである。
私はいちいち、絵の見方を説明しない。初めに渡される紙には篠田桃紅が鑑賞するための指示書が書かれている。作品のタイトルにすぐに目がいかないように、文字によってイメージが限定されないように工夫がされており、数字だけで作品が表されている。
出品作品リストには別紙解説がある。黒い丸が書かれていた。だがどうしてだろう?私の選んだ3点は全て解説がついていない。作品解説があるのは第1章の3、第2章では5、第3章では2、第4章では5点の作品解説がある。
今回の展覧会は

郵便番号220-8510
横浜市西区高島2-18-1
電話番号0454655515
主催はそごう美術館。神奈川県教育委員会や横浜市教育委員会がバックアップしてる。協賛はそごうと西武である。
残された1日。ぜひ実物を見て感動してほしい。
アートプレゼンター彫刻家、画家の飯沼英樹でした。