【映画レビュー】100年の封印を解かれた天才画家の真実。映画『ヒルマ・アフ・クリント 未来の図譜』

美術界の歴史が、今まさに書き換えられようとしています。

カンディンスキーやモンドリアンよりも数年も早く、世界で初めて「抽象画」を描いた女性。それがスウェーデンの画家、ヒルマ・アフ・クリントです。彼女はなぜ、自分の作品を「死後20年経つまで公開してはならない」と言い残し、歴史から姿を消したのでしょうか。

1. 美術史から「消された」女性の物語

かつて男性中心だった美術界において、彼女のような「霊性的(スピリチュアル)」な手法で描く女性は、正当な評価を得ることができませんでした。

映画では、彼女が仲間たちと「5人組(ド・フェム)」というグループを結成し、自動書記のようなスタイルで巨大な作品群を創り上げていく様子が描かれます。それは、当時支配的だった男性的・物質的な価値観への、静かな、しかし強烈な反旗でもありました。

2. 聖地:スウェーデン・メーラレン湖の「アデルスユー島」

ヒルマがその生涯の多くを過ごし、自身のインスピレーションの源としたのが、スウェーデンの美しい自然です。特にメーラレン湖に浮かぶ島々は、彼女の精神世界の拠点となりました。

現在、ストックホルムの近代美術館には彼女の作品が収蔵されていますが、彼女が求めたのは「円形の神殿」に自分の絵が並ぶことでした。

📍 ストックホルム近代美術館:ヒルマの作品の多くがここに保管されています。

スウェーデン・メーラレン湖の「アデルスユー島」

3. 「未来」へ向けたメッセージ

ヒルマは、自分の絵が当時の人々には理解されないことを悟っていました。だからこそ「死後20年は封印」という奇妙な遺言を残したのです。

彼女が描いたのは、目に見える世界ではなく「魂の図譜」でした。100年後の今、世界中の人々が彼女の絵に熱狂している現状は、まさに彼女が予見した未来そのものと言えるでしょう。

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